甘口とドライ(辛口)それぞれの特徴
甘口ワインの特徴
- 残糖分が多い: ブドウの糖分がアルコールに変わりきらず、液体中に残っているため、甘く感じます。
- 口当たりがまろやか: デザートや食後酒として楽しむことが多く、アルコール度数も低めのものがあります。
- 例: デザートワイン、貴腐ワイン、ポートワインなど。
辛口ワイン(ドライ)の特徴
- 残糖分が少ない: 酵母がブドウの糖分をほぼ全てアルコールに変えた状態です。
- キレが良い: 飲み口がすっきりしており、食事と合わせやすいのが特徴です。
- 例: シャブリ(シャルドネ)、ボルドーワインなど、多くのテーブルワイン。
甘口・辛口の違いと見分け方
ワインの甘辛を正確に見分けるには、「ラベル表記」と「テイスティング時の感覚」という二つのアプローチが不可欠です。
製造過程の違い:残糖分が全てを決める
ワインのカロリーと甘辛は、アルコールと残糖分によって決まります。残糖分が多いほど甘く、カロリーも高くなります。
| 種類 | 残糖分の量 | 発酵の停止 | カロリー目安(100mlあたり) |
|---|---|---|---|
| 辛口 | 非常に少ない(4g/L未満) | 酵母が糖分を食べ尽くすまで続ける。 | 約75 kcal |
| 甘口 | 多い(45g/L以上) | 途中で意図的に発酵を止めるか、糖度が高すぎて酵母が活動停止。 | 約100〜150 kcal |
ラベル表記で判断する(スパークリングワイン)
特にシャンパンなどのスパークリングワインは、残糖分に応じて厳密に表記されています。「Brut(ブリュット)」が最も一般的で、辛口を意味します。
| 表記 | 甘辛度 | 残糖分 (g/L) |
|---|---|---|
| Brut Nature | 極辛口(糖分ゼロ) | 0〜3 |
| Extra Brut | 非常に辛口 | 0〜6 |
| Brut | 辛口(最も一般的) | 0〜12 |
| Sec / Dry | やや辛口〜中甘口 | 17〜32 |
| Doux / Sweet | 極甘口 | 50以上 |
舌で感じる味の要素
- 辛口: 舌の両脇で感じる酸味が際立っているか。口をつけた後、唾液が出やすいと感じたら、それは酸味の強い辛口のサインです。
- 甘口: 舌の先端で直接的な甘さを感じるか。ねっとりとした粘度があり、口当たりが重く感じられます。
糖度別ブドウ品種、国別の特徴、カロリー目安
甘口ワインに使われるブドウ品種と特徴
- リースリング (Riesling): 高い酸味と豊かな糖度を両立できる品種。ドイツでは「甘口」から「極甘口」まで幅広いスタイルで使われます。
- モスカート / ミュスカ (Moscato / Muscat): マスカット特有の華やかな香りと、甘くフルーティーな味わいが特徴。イタリアの微発泡ワイン「アスティ」などに使用されます。
- セミヨン (Sémillon): 貴腐ワインの主要品種。菌の作用でブドウの水分が蒸発し、糖度が極限まで凝縮されます。
国別の甘口ワインの見分け方
- ドイツ: ボトルに記載されたPrädikat(プレディカーツヴァイン)という等級で甘口度合いが細かく分かれています(例: アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼなど、表記が長いほど甘口)。
- フランス(ボルドー): ソーテルヌ地区で造られる貴腐ワインが有名で、極甘口です。
- イタリア: 微発泡のモスカート・ダスティや、干しブドウから造るパッシートなどがあります。
カロリーの目安
ワインのカロリーの大部分はアルコールと残糖分によって決まります。
| 種類 | 残糖分 | カロリー目安(100mlあたり) |
|---|---|---|
| 辛口ワイン | 少ない | 約75 kcal |
| 甘口ワイン | 多い | 約100〜150 kcal |
※辛口ワインでもアルコール度数が高いとカロリーは高くなります。
甘口と辛口の代表的な商品
辛口の代表例
- フランス・シャブリ: シャルドネ種。ミネラル感たっぷりで、キレのある辛口白ワインの代名詞。
- チリ・カベルネ・ソーヴィニヨン: 力強い渋味(タンニン)とドライな飲み口を持つ赤ワイン。
- シャンパン・ブリュット: 最もポピュラーな辛口のスパークリングワイン。
甘口の代表例
- イタリア・モスカート・ダスティ: マスカットの香りと微かな発泡、低アルコールの甘口白ワイン。
- ポートワイン(赤): 食後酒として楽しまれる、アルコール度数の高い濃厚な甘口赤ワイン。
- 貴腐ワイン(ソーテルヌなど): 蜂蜜やアプリコットの香りがする、極上の極甘口白ワイン。
赤ワインに甘口はあるの?
赤ワインにも甘口は存在します。主に以下の2パターンです。
- ポートワイン(ポルトガル):
発酵途中の赤ワインに、アルコール度数の高いブランデーを添加することで発酵を止め、ブドウの糖分を意図的に残した極甘口の赤ワインです。アルコール度数は19〜22%と高めです。
- イタリアのランブルスコ:
赤の微発泡ワインで、辛口もありますが、アマービレ(やや甘口)やドルチェ(甘口)と表記されたものが存在します。軽やかで飲みやすいのが特徴です。
ペアリングの鉄則:「甘口ワインとデザート」の法則
甘口ワインを最も美味しく楽しむための絶対的なルールは、「ワインは、合わせるデザートよりも甘くなければならない」ということです。
料理の甘さがワインの甘さを超えてしまうと、ワインの味わいが損なわれ、酸味やアルコール感が際立って、粗く感じられてしまいます。
甘口ワインと相性の良いペアリング例
- ソーテルヌ(極甘口):
フォアグラ、ブルーチーズ、クレームブリュレ。濃厚な甘さが強い風味を持つ料理やデザートと見事に調和します。 - リースリング(やや甘口):
スパイシーなエスニック料理(タイ料理など)。ワインの甘味が料理の辛味や酸味を和らげ、バランスを取ります。
特にブルーチーズと甘口ワインの組み合わせは、ワインのペアリングの基本を学ぶ上での最高の教材です。
世界を代表する甘口・辛口のワインスタイル
具体的な銘柄や産地を知っておくと、ボトル選びが容易になります。
代表的な甘口ワインのスタイル
- ソーテルヌ(フランス): 貴腐菌による濃厚な甘さと芳醇な香りが特徴の世界最高峰のデザートワイン。
- アイスワイン(カナダ・ドイツ): 凍結したブドウから造られる、非常にピュアで凝縮された甘さが特徴。
- ポートワイン(ポルトガル): 醸造中にアルコールを添加して発酵を止めるため、高いアルコール度数と強い甘さを持ちます。
代表的な辛口ワインのスタイル
- ソーヴィニヨン・ブラン(フランス・ニュージーランド): 非常に酸味が高く、ハーブのような爽やかな香りの辛口白ワイン。
- キアンティ(イタリア): 軽快で酸味が豊か、料理を選ばない万能な辛口赤ワイン。


