「プラモデルの塗り方を基礎から知りたい」という初心者の方に向けて、下地処理から基本塗装、仕上げコートまでの全工程を詳しく解説します。結論から言えば、プラモデルの塗装で最も重要なのは「準備8割・塗装2割」です。下地処理をしっかり行うことで、仕上がりが格段に良くなります。全工程を順を追って丁寧に説明します。
プラモデル塗装の全体の流れ
プラモデルの塗装は以下の7つの工程で構成されています。
- パーツの洗浄(脱脂)
- ゲート処理・ヤスリがけ
- サーフェイサー(下地塗装)
- 本塗装
- デカール(シール)貼り
- スミ入れ
- トップコート(仕上げ)
この順序を守ることで、初心者でも美しい仕上がりが得られます。
工程1:パーツの洗浄(脱脂)
なぜ洗浄が必要なのか
プラモデルのパーツ表面には、製造工程でつく離型剤や手で触ったときの油汚れが付着しています。これらが残っていると塗料の食いつきが悪くなり、塗装が剥がれる原因になります。
洗浄の手順
- 食器用中性洗剤を薄めた水を用意する
- パーツを洗剤水に浸け、スポンジで優しく洗う
- 流水でしっかりすすぐ
- キッチンペーパーで水気を拭き取る
- 完全に乾燥させる(半日〜1日)
工程2:ゲート処理・ヤスリがけ
ゲート跡を綺麗にする
ニッパーで切り離したパーツには必ずゲート跡(切り残し)が残ります。デザインナイフで薄く削り、240〜400番のヤスリで滑らかに整えます。
合わせ目を消す(上級者向け)
左右のパーツを接着すると合わせ目(継ぎ目)が残ります。接着剤を多めに塗って接着し、はみ出した接着剤が乾燥したらヤスリで削ることで合わせ目を消せます。時間はかかりますが、完成度が格段に上がります。
工程3:サーフェイサー(下地塗装)
サーフェイサーの役割
サーフェイサーは下地塗料で、以下の3つの役割があります。
- 塗料の発色を良くする
- 表面の小さな傷や凹凸を埋める
- 塗料の食いつきを良くする
サーフェイサーの選び方
| 色 | 用途 |
|---|---|
| 白サフ | 白・黄色・明るい色を塗るとき |
| グレーサフ | 赤・青・緑など中間色を塗るとき(万能) |
| 黒サフ | 黒・濃紺など暗い色を塗るとき |
初心者にはグレーサフが最も使いやすく、どんな色にも対応できるのでおすすめです。
サーフェイサーの吹き方
- 屋外または換気の良い場所で作業する
- 缶を1分程度よく振る
- パーツから20〜25cm離れた位置から薄く吹く
- 全体が均一にグレーになればOK(厚塗り不要)
- 30分〜1時間乾燥させる
工程4:本塗装
塗装方法の選択
塗装方法は大きく3つあります。
- スプレー缶:広い面を均一に塗装できる(初心者におすすめ)
- 筆塗り:細かいパーツに最適(広い面はムラができやすい)
- エアブラシ:最高の仕上がり(初期費用35,000円〜)
スプレー缶での塗り方
- 缶を1分程度よく振る
- パーツから15〜20cm離れた位置から吹く
- 「シュッ、シュッ」と断続的に吹く(連続噴射しない)
- 薄く何度も重ね塗りする(1回で仕上げない)
- 各層15分程度乾燥させてから次を塗る
筆塗りでの塗り方
- 塗料を溶剤で薄める(塗料:溶剤=1:1程度)
- 筆に塗料を少量だけ取る(筆の先端1/3程度)
- 薄く伸ばすように塗る
- しっかり乾かす(水性30分〜1時間、ラッカー10〜30分)
- 塗る方向を変えて重ね塗りする(縦→横→斜め)
工程5:デカール(シール)貼り
水転写デカールの貼り方
- デカールを切り出す
- ぬるま湯に20〜30秒浸ける
- 台紙からデカールがスライドするようになったらOK
- 貼りたい位置に台紙ごと置く
- 台紙を引き抜いてデカールだけを残す
- 綿棒で空気を押し出して密着させる
- 1日程度乾燥させる
シールタイプの貼り方
- ピンセットでシールを剥がす
- 貼りたい位置に置く
- 綿棒で押さえて密着させる
工程6:スミ入れ
スミ入れとは
パーツの溝にガンダムマーカーやエナメル塗料で線を入れることで、立体感が格段に増します。塗装後に行うのが基本です。
スミ入れの手順(ガンダムマーカー)
- ガンダムマーカー 墨入れペン(黒またはグレー)を用意する
- パーツの溝にペン先を当てて線を入れる
- 毛細管現象で塗料が溝に流れ込む
- はみ出した部分は綿棒で拭き取る
- 30分程度乾燥させる
工程7:トップコート(仕上げ)
トップコートの役割
トップコートは仕上げスプレーで、以下の3つの役割があります。
- 塗装面を保護する
- 質感を統一する
- デカールやスミ入れを定着させる
トップコートの種類
| 種類 | 仕上がり | 用途 |
|---|---|---|
| つや消しクリア | マットな質感 | ガンプラ・軍用機・戦車など(万能) |
| 光沢クリア | ツヤツヤの光沢 | 車・戦艦など |
| 半光沢クリア | 中間の質感 | レーシングカー・航空機など |
初心者にはつや消しクリアが最もおすすめです。どんなプラモデルにも使える万能タイプです。
トップコートの吹き方
- 缶を1分程度よく振る
- パーツから20〜25cm離れた位置から薄く吹く
- 「シュッ、シュッ」と断続的に吹く
- 2〜3回重ね塗りする
- 1日程度しっかり乾燥させる
初心者がつまずきやすいポイント
工程を飛ばして失敗する
原因:サーフェイサーやトップコートを省略している
対処法:面倒でも全工程を順番に行う。特にサーフェイサーとトップコートは必須。
乾燥時間を守らない
原因:早く完成させたい焦り
対処法:各工程でしっかり乾燥時間を取る。塗装は「待つこと」が最も重要。
一度で仕上げようとする
原因:時間を節約したい気持ち
対処法:薄く何度も重ね塗りする。一度で厚く塗るとムラや垂れの原因になる。
まとめ
プラモデルの塗装で最も重要なのは「準備8割・塗装2割」です。パーツの洗浄・ゲート処理・サーフェイサーなど、下地処理をしっかり行うことで仕上がりが格段に良くなります。
全7工程(洗浄→ゲート処理→サーフェイサー→本塗装→デカール→スミ入れ→トップコート)を順番に行い、各工程でしっかり乾燥時間を取ることが成功の秘訣です。
塗装方法全般の選び方は初心者向けプラモデル塗装ガイド完全版を、塗装道具の詳細はプラモデル塗装初心者向け道具・材料ガイドもあわせてご覧ください。